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[ No.2]
【共生への一歩】
伝統建築から次世代を学ぶ

安井 清
安井杢工務店副社長(京都塾アドバイザー)
明治維新は、西洋文化を取り入れ、日本人の英智と互譲の精神で約1世紀余の間に世界に輝ける経済発展国となりました。
それは近世より現代、そして超近代と目まぐるしく変化する時代に寸暇を惜しみ働き続けた結果でもあると思います。
一方、我が国に伝承された文化、特に伝統建築の技術の伝承は殆ど忘れ去られ、1世紀前の尊い建築、住宅、店舗、集会所、役所等明治前の建物は、その価値が分からないために無造作に捨てられ殆ど昔日の面影すら残っていない現状です。私は仕事の関係で、欧米に数多く参ります折々に大事に誇りを持って住んでおられる「お住い」に招待されて、その国の歴史文化の認識の高さに何時も驚かされます。
果して、昔から伝わっている住い、集いの場所等はこれでよいのでしょうか? 父達が祖父達が血と汗と涙で築いた住いの文化、一本一本の柱を手塩に掛けて育て、自慢して建て上げた、祖先の尊い住いが、僅か1日で機械でもって、産業廃棄物となる日本の現状と見比べ空恐しく悲しくなるのは私一人だけでしょうか。
世界の人々と共生の時代、大自然との共生、超近代を迎えて森林に憩いを求める人々との共生の時代がやって来ました。
縦割の世界より、欧米の様な横割の、若い人と共に手を繋ぎ共に語り共に喜ぶ時代が間近に来たと感じます。
一村一品運動より一村文化運動を、親子と孫と一緒に大自然の中で、村中の人々と祖先の残した英智と伝承の重さを共に学びお互いに智恵を出し合い、汗を流して、新しい世代を創る時が参りました。
外国から航空機を利用すれば僅か数時間で国内でも数時間で交流できるこの時代こそ、もっと大きな世界との共生も考えねばなりませんし、言葉の勉強も必要でしょう。一村全体が大きな姿で取り組むべきでしょう。
京都市では既に建都1200年の記念式典があり、ようよう世界より見直されつつある現在、町屋に「住む人の心」を育てる文化活動も必要となります。それには市全体の衣食住専門の人達との見直しや村起こしが行われるでしょう。
また、郊外の大山崎町は木津川、宇治川、桂川の三川の合流地で古代より「弟国」の都があり、難波、奈良、長岡京、平安京の荷物を運んだ歴史の宝庫で、例の紀貫之の「土佐日記」街道です。山崎―長岡―向日市と二市一町を結ぶ歴史海道を創り、向日市には、長岡京跡に当時の建物を再現し、西国街道には、本陣「富永家」の復元、長岡京市には第二の桂離宮と言われている開田村、桂別荘(現水前寺公園古今伝技の間)の復元、等の各復元と共に「乙訓」が一団となって村起こしの共生に努力すべきと思います。
丹波、丹後、八幡、綴喜、田辺、精華町、南山城、等々それぞれに先人の残された尊い文化遺産を囲み行政と一体となり「共生」に一歩ずつ進もうではありませんか。
■プロフィール
大正14年12月6日、京都府向日市に生まれる。株式会社安井杢工務店取締役副社長。1級建築士、測量士。伝統建築の第一人者で、桂離宮の昭和大修理、国宝茶室「待庵」修復。また、海外においてもニューヨーク、メトロポリタン美術館内の日本ギャラリーの建築に携わるなど多くの功績をもつ。
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