[ No.2]
【平成の火種組】

住民の心がつながれば村づくりができる
村人たちにはそんな展望が
見えてきた!
(1)

 大宮町では行政・商工会・農協が一体となって、昭和63年から『ひとづくり』をテーマにした取り組みを続けてきた。「JOY」→「町づくり会」→「活性懇話会」と組織替えもおこなわれたが、その流れは、平成7年に結成された「活性懇話塾」へと継がれている。同時に、集落を基礎にした『村づくり』もスタートした。町内16ある集落のうち13集落で地域塾にあたる「村づくり委員会」が組織され、村のビジョンづくりやその実現のための活動が軌道に乗りつつある。『ひとづくり』の歴史を受け継いだ活性懇話塾は地域での仕掛け人を育て、その人たちが中心となって集落での『村づくり』を進める――そこに、地域づくり塾運動の典型となる戦略を見つけることができる。今回は、大宮町での大いなる挑戦の“心”を探りに出かけた。

 丹後半島の真ん中に位置する大宮町下常吉地区――この小さな集落(65世帯・人口280人)で昨年、村を沸かせる“二つの出来事”があった。

村人の心を揺さぶるジャズ

寺子屋
ふるさとに誇りをもってほしい
 その一つが『あじさいJAZZコンサートIN下常吉』。自然派ピアニストの河野康弘さんらを招いて開かれた。会場は、下常吉に一つしかないお寺――その本堂が舞台、境内が客席として使われ、地区内外から300人の老若男女が集まった。借りてきた作業用ライトに照らされて浮かび上がる本堂、そこから流れてくるジャズのリズムに合わせて客席が揺れる。「おばあさんが、拝むように手を打ちながら身体をゆすっていた」と聞く。
 コンサートを開いたのは『下常吉村づくり委員会』、施設も何もないところからのスタートであった。「お寺を会場に使えたら」と考えた委員長の大木満和さんは、「地域のみんなに本物を見せたい」を殺し文句に住職や総代長を説得して回った。準備はすべて手づくりで、メンバーの“特技”を生かして分担。チラシの作成は元広報課の町役場職員、小売店の経営者は自店の広告チラシを使って宣伝をしてくれた。油絵の好きな人が看板を描き、織物業の人たちは丹後ちりめんの加工場へ行って幟(のぼり)を染めてきた。参道に吊るす“万灯”はみんなで作った。「何もない地域だが、下常吉でもこんな事ができるんだということが分かった。それを村の人たちも感じてくれたら嬉しい」と大木さん。

村をかけめぐる子供たちの心

 もう一つの出来事。「何年かしたら地域の主役になる子供たち、そんな彼らに今教えておかないと、次代に継げないものがある」――大木さんたちが考え続けてきたことが、『第1回下常吉土曜学校…グローバル・愛 寺子屋』という形で実現することになった。寺子屋の生徒になれるのは下常吉など5集落を校区とする小学校の全児童で、その8割近い100名の参加があった。住職が見守る「正座のガマン会」、きのこ博士と一緒に「ふるさとの山を知る」、郷土史家が語る「平地地蔵と地蔵院の由来」、ボーイスカウトと楽しく遊ぼう「ゲーム」といった多彩な“授業”が、下常吉の各地を巡りながら1日繰り広げられた。この『寺子屋』開催にあたっても、『村づくり委員会』のメンバーは綿密な計画の下、準備や当日の運営など裏方の仕事に奔走した。

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