[ No.8]

特集●地域起こしを地酒に賭ける

手づくりの楽しさ 広がる人の輪

 酒の力はやっぱり強いんですね。歯止めが掛からない過疎化、高齢化…支え切れない重荷を背負った地域の人たちを、こんなにも結束させるのですから。酒米づくりから手掛けてロマンを紡ぎ、夢はぐくみ、地域の活性化を地酒づくりに託して張り切る人たちがいます。地酒を通して人のぬくもりの輪を広げ、地域起こしに取り組む群像を紹介します。

(取材・玉岡博匡)

郷土の誇りラベルに込め●口上林――活性化の推進に弾み

写真
酒米「五百万石」の稲刈り(上)と、口上林のネーミング、ラベル募集に寄せられた数々の力作、苦心作(下)

 上林川の清流を、奥上林から中上林へと下って、綾部市街地の北東約10キロにある口上林地区。

 ♪ハー 川のせせらぎ 谷間の流れ 若鮎群れてる はねている…夜は青田に蛍がとんで…ホンニ エエトコ 口上林…

 地元の主婦が作った歌詞に、シンガーソングライターのばんばひろふみさんが曲をつけた「口上林音頭」は、この地域のよさを“ええとこ取り”して、魅力たっぷりに囃したてています。これにプラスアルファを、と考えられたのが「燗囃」でした。

写真
「燗囃」への期待を語る口上林地区自治会連合会会長の川端貞男さん
 口上林の8地区を束ねる自治会連合会会長の川端貞男さん(65)=綾部市十倉志茂町=を中心に、酒米づくりが始まったのは97年。村おこし推進協議会のなかに酒づくり委員会を設け、4地区60アールの田で栽培した酒米「五百万石」を同市志賀郷町の志賀醸造に依頼して1.8リットル瓶換算1,100本分の純米吟醸酒を誕生させたのです。

 ネーミングは、有線放送などを通じて公募しました。集まったのは、清流の里、酔っ払っていいか、渓流の郷、たまんない、ふるさと、鮎おどり、せせらぎ、夢ものがたり、林渓、黄金波…など40数点。ラベルの絵をていねいに描き込んだのもあり、恵まれた自然を抱える地域への思いや誇らしさの滲む作品が目立ちました。

写真
あっさりとして、こくがあると評判の「燗囃」
 この中から、地区名をもじった「燗囃」に決めるには一つの反省がありました。せっかくの「口上林音頭」に「口」をつけたばかりに、中・奥上林に音頭を広めにくくした苦い経験が。「かんばやし」全域で愛される酒にしたい、手軽に菓子を持参するような感覚で、地域の顔として手土産に使ってもらえれば、と川端さん。

 村おこしの事業では、7月の「海の日」に上林川で川まつりを催し、魚のつかみ取りを楽しませたり、山すそにソメイヨシノ500本を植えたり、ホタルの里の計画も。自然環境を生かした憩いの里づくりに取り組んできました。これに純米吟醸の地酒が加わって、村おこしの論議にもっと弾みをつけたい、話に花を咲かせてほしい、と期待しているようです。

ふるさとINDEX][HOME][NEXT>>
line

21ふるさと京都塾
〒602-8054
京都市上京区出水通油小路東入丁字風呂町104-2
京都府庁西別館 京都府農業会議内
TEL075-441-3660(代) FAX075-441-5742