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[ No.8]
複雑系の時代におけるまちづくり![]()
吉村 元男 地域の廃棄物問題を解決しながら、新しい産業を生み出し、失業問題も解決し、不便な地域も便利になり、さらに環境もよくなる。こんな「よいよいづくし」の地域づくりなんてあるのだろうか。みなさんはこんなことは絶対にありえないとおっしゃるにちがいない。しかし、このとんでもない課題を解かないといけない時代にわたしたちは遭遇している。いままでは、産業を生み出したら、公害を発生させる。自動車などの交通の利便性を実現すれば、広い道路ばかりが優先して、歩行者の快適な町は失われる。わたしたちの日常の行動は、あちらをたてればこちらはたたずといった、目の前に設定された二つの異なる選択肢に賛成か反対か、AかBかへ投じることでしか、まちづくりに参加してこなかった、あるいは、参加できなかった。そしてこの二つの選択肢のなかで議論は百出するが、その議論のほとんどは妥協を許さず、第三の道を見つけようとするものではなかった。また、どちらが採用されたとしても、時代を画して前進させる活力と創造力のある結果にはならない場合が多い。民主主義は、現在、硬直した裁判に依存せざるを得ないのは悲しむべきことである。 例えば、いまわたしがかかわっている関西学研都市でも、将来の人口増加に対して廃棄物処理場の問題が浮かび上がってきている。日本中で廃棄物の焼却や埋め立て場所がなくなってきている現在にも拘わらず、廃棄物処理場を自分たちの地域社会に建設するべきかどうかの選択に終始していることが多い。今は、廃棄物を他人の地域にもっていってはいけないこと、さらに廃棄物処理場そのものを無くしてゆくためにどうすればよいかの議論こそ必要な時代にきている。こういった議論に耐えるためには、物事は、「風がふけば桶屋が儲かる…」といったように、ことの顛末を予想し、その複雑な流れのなかで思考し、そしてそれぞれの段階毎に決定し、実践に移していくことが望まれる。九七年の地球温暖化防止京都会議で明らかになったことは、地球の破壊者あるいは地球を劣化する張本人がわたしたち人間自身であり、地球の生態系や資源の枯渇、環境破壊などいままでの判断の基準に入ってこなかったあらゆる指標を自己の行動の規範にする必要がでてきたことである。そしていま私たちに求められる複雑系の時代におけるまちづくりは、冒頭で述べたような、地球に優しく、豊かな人間性を育み、産業を起こし、そして失業を無くすことを同時に実現する政策なのだ。わたしたちは、この全く新しい21世紀的まちづくりの課題に挑戦できるだろうか。
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