[ No.8]
【平成の火種組】

「夢物語が、語れるようになった」
願いを煮つめてカタチに

伊根塾(2)

町づくりの知恵袋に

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完成した塾舎全景

 三年間の活動のなかで、夢が具体的な構想として現れてきた。その一つが「屋形船」構想。舟屋群を海上から眺めながら伊根で採れた魚貝を食べてもらうグルメクルーズを楽しむもの。年間通じて波静かな伊根湾に屋形船を浮かべて観光客を呼び、その上雇用の拡大も兼ねるというのが狙い。
 これは塾とは何かを問う論議にも発展。

▼補助金に頼っていてはいかん。何か自分らで稼いで、活動したい。▼提案だけでなく、事業を起こさねばならないのとちがうか。塾生が出資して有限会社をおこして、伊根湾に「屋形船」を浮かそう。▼塾が儲けるわけにはいかん。塾は夢を語り合ってその中で煮詰まったものを役所に提案する。役所にない企画部の役割をもっているのではないか。▼塾は事業をたちあげる提案をして、それをサポートするものだ。
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塾舎のある舟屋の里では、伊根塾が主催する朝市が好評だ。昨年11月には宇治田原町の塾からも産品が出品された
 等々、論議は前向きに進む。今秋から工事が始まる太鼓山の風力発電所建設を活かした町おこしや、町内最大のお祭り「伊根祭」で伊根湾に浮かべられる舟屋台の展示館建設構想など、夢が次々と湧いている。

 さて、今後更に深い分析がされていくが、中間報告はどうまとめられるか? いずれにせよ、塾を通して農・水・商・観光の各分野の情報を共有し、町おこしへの可能性を高めていることは確か。いままで個別に思っていたことが、塾を通して語ってもらえるようになったと、町民の声も。まさに、町づくりの知恵袋として、町民と行政との間のメッセンジャーとして伊根塾が地域に根づきだしているのだ。


伊根塾からの一言

枦木洋三塾長(60)

 「伊根町は開発の手が入っていない。その点がうれしいんですわ。今から伊根町のみんなの力で開いていける可能性がある町なんです。夢がようけある町です。『不便』を逆手にとってね、いちばん不便な地で何も手つかずの土地があっていいじゃない。そういう所でもみんなが町を守って、生活が出来たら言うことない」。

 枦木さんは27年前、別荘を開発するために伊根町に来た。それ以来、伊根の人情に惚れ込んで住み着いた。地元の人からはハッサンと呼ばれ、「伊根の人より伊根のことを知っている」と自負する。

上山富夫事務局次長(伊根町役場産業課)

 「さざえやあわび、魚も釣れる。米づくりもできる。自然がたっぷりある。こんな所なかなかない。夢はこの町を次の世代、わが子に残すこと」。

 上山さんは、高校卒業以来、伊根町役場に勤務。若いころは多くの同級生のように外へ出たいと思ったこともある。しかし今は「伊根にいて良かった」と誇りに思う。

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