[ No.10]

特集●農業が育てる地域の福祉力

 「福祉」とは、平たく言えば「しあわせ」のこと。最近、耳にする「農業の福祉力」はさしずめ、農業が持つしあわせの活力源、ということでしょうか。その農業の包容力、懐の深さ、広さ。なればこそ、それぞれの地域で取り組まれている“しあわせづくり”の態様は多彩です。ここでは、老人たちも巻き込んで、元気に自立して働き続けられるシステムを作り上げた村営百貨店と、環境にやさしい工夫をこらして地域に溶け込む障害者施設の二つの表情を取り上げました。
(取材・玉岡博匡)

その1 大宮町 常吉村営百貨店(1)

生涯現役に戻った老人たち
腐らせていた野菜がお金になった

写真
常吉村営百貨店内で目立つ「常吉産品」大集合のコーナー。左端はパートの安味肇子さん
地図

 「雪の下より取って来ました 200円」。丸々太ったハクサイの値札につけられたメッセージ。
 ここは、中郡大宮町上常吉の農業生産法人「有限会社・常吉村営百貨店」です。
 西部劇のセットを思わせるようなログハウス風建物。入口近くに「常吉産農産物売り場」のコーナー。生産者の名前を張ったコシヒカリ、はったい粉や手作りコンニャク、ずいきイモ、小豆、黒豆、シイタケ、栗餅、たくあんに仲間入りしたハクサイ10個は、この朝10時開店前に、下常吉の大木嘉一さん(78)が持ち込んだものです。5人暮らし。息子たちは勤めに出て、嘉一さん夫婦で米、野菜7反を作っていますが「これまでは、ようけ出来ると畑にほっておくか腐らせていました。村営百貨店が出来て大助かりですわ」。売れた7掛け分が嘉一さんの収入です。

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