|
[ No.10]
都市の“半田舎”要求と農村の経済的要求の相互理解![]()
山口 繁雄 一時期に比べると、都市と農村との交流活動は盛んになっている。これは、都市側のニーズと農村側のニーズが折り合って、両者がなにがしかのメリットを享受できるようになったからと思われる。確かに都市に住む人々は、人工的で金銭消費型の都市空間では、安らぎを得ることができないという思いを強くしている。一方、農村は、自然環境や田園環境が豊かではあるが、経済的な問題を抱え過疎化に悩んでいる。そこで、都市住民は安らぎと時間消費型の空間を求めて農村へ出かけることとなり、農村住民はその期を捉えて都市住民にその空間を提供するとともに、各種イベント等の実施による訪問者や宿泊者の増大、農産物や加工品の産地直売やふるさと宅急便等の特殊な販売活動の展開等により所得の向上を図り、地域経済の維持発展に努めている。 そこに生まれた関係は、両者のニーズをある程度満たすものであり、喜ばしいものである。現に、都市住民と農村住民との間で、単なる経済問題を超えた相互理解と様々な「交流」が行なわれている事例も、一部には見られるようになっている。 しかし、全体として見れば、両者の間の「溝」は本当に埋まったのか、「交流」から「共生」へと進む道が本当に見えたのか、というと必ずしもそうともいえない状況もある。先般、ある機会に、都市住民と農村住民とで構成されるメンバーで、都市と農村交流のあり方についてのワークショップを行なった。その時の議論で出たのだが、都市側住民が求める農村像は「半田舎」、完全な田舎では居心地が悪いと言う。一方、農村側住民は、農村の自然的・経済的環境は厳しい。その厳しさを楽しむ位の気持ちがないと暮らすことはできない。そうしたことをよく理解した上で地域の活性化を考えないと本物にはならないと言う。また、そんな両者が本当に分かり合うためには「激論」を交わす必要があるのではないか、とも指摘する。こうしたやりとりを聞いていても、本当の意味で都市と農村が「共生」していくのはなかなか難しい、と感じる。 とはいえ、経済社会が「成熟化」し、人口の少子・高齢化が進み、近い将来には人口減少時代が到来しようとしている今日、都市と農村が折り合いを付ける条件はかってなく高まっているのも事実である。このような時代背景の中で、都市住民と農村住民との相互理解を深め、共に生きる道を見い出していくには、双方の意向を本音の部分まで理解し、両者の意向を調整しながら交流活動を促進し、双方にメリットをもたらす「プロデューサー的役割を果たす人々」が必要である。「21ふるさと京都塾」の活動の深化が問われていると感じている。
■プロフィール |
21ふるさと京都塾
〒602-8054
京都市上京区出水通油小路東入丁字風呂町104-2
京都府庁西別館 京都府農業会議内
TEL075-441-3660(代) FAX075-441-5742