[ No.11]

ふるさと交流フォーラム

食と農を架け橋として、新しい時代を築く

 今日は自己ピーアール・カードを用意しました。そのなかで「好きな食べ物」とありますが、私の好きな食べ物は「全て」です。何でも食べます。「嫌いな食べ物」は「化学調味料の味付け」です。特に私の世代は子どもの頃によく食べた、手軽にパッパッと使った、味の素とかダシの素。これが苦手です。舌にピリピリくるのがダメなのです。
しかしこういう「食のあり方」を続けてきたことが、いろいろな問題として出てきたのではないでしょうか? 原因として「食」と「農」との距離が言われています。その間を結ぶ「架け橋」をどのように作るのか。その時、都市と農村、村と町がどういう役割を果たしていけるのか。今日はご一緒に考え合いたいと思います。
 今日のふるさと交流フォーラムはいわばお見合いの場。ふるさとセンターは仲立ち人・介添え人です。
 都市と農村の両方のグループ・団体が話し合い、都合を出し合って、お互いに「こういうことはできる・できない」、「そういう見方・そんな期待があるのか」、学びあい学習しあう、これがフォーラムです。

■1 「二〇世紀という時代」

池上
池上 甲一さん
 二〇世紀は、大量生産・大量消費・大量流通・大量廃棄を効率的に行う時代でした。それは三つの点から見ることができます。
 一つめはアメリカの大統領が言った一つのキャッチコピーに象徴されます。「すべてのキッチンにチキンを、すべてのガレージにフォードを」。ニワトリを工場のように飼い、同じ品質のチキンを大量に生産し、各家庭の台所に供給する、移動手段もT型フォードという車の大量生産が可能になりました。同じものを同じ品質で、できるだけ安く供給し、みんなが同じものを消費する、そういう時代でした。
 二つめは日本の高度経済成長の真っ盛りの時代、こんなコマーシャルがありました。「オー、モーレツ!」この時代の広告戦略は、「飽きさせろ!」「陳腐にさせろ!」「どんどん捨てさせろ!」でどんどん消費を煽っていきました。
 三つめは農業の話ですが、例えば麦の脱穀はノギが舞い上がってチクチクしてつらい。そういう仕事が機械によって非常に楽になった。子どもの日常感覚からも農業が遠いものになっていく。暮らしそのものは児童文学の杉浦明平さんの言葉で言えば「殿様の暮らし」になった。豊かになったけれどそれはお金がいる暮らし。そこで結果としてどうしても「効率」や「採算性」を考えなければならなくなってきた。それが二〇世紀の特徴です。
 効率的に物事を考えたため、できるだけ単純化して、どんどん分離・細分化した。例えば、都市と農村、都会と田舎、町と村、男と女、生産と消費、家庭と職場、健常者と障害者……。こうした区別が対立的に行われてきた。
もう一つの基本的な考え方は、限りなく分離したものを自分たちでやることなく外部に任せる。教育、福祉、介護。最近では食材を集める、調理も外に任せていくというようなことです。

■2 文明史の転換点としての現代

フォーラム
ふるさと交流フォーラムの様子@
2003年3月2日
 しかしこういう限りない「分離」から問題が起こり、新しい方向に向かいつつあるわけです。
アルビントフラーという歴史学者が三〇年ほど前に『第三の波』という本を出しています。第一の波は「農業の時代」です。農業革命で農業生産力が非常に高まった。第二の波は「工業の時代」です。産業革命以降、大量にものを作る工業の時代がやってきた。そしてその後に、だいたい七〇年代後半頃から新しい第三の波が起こりつつある。第三の波は「分離から融合」です。都市と農村の協同、力を合わせて働き合うことも含めた、「融合」の時代です。
 分離から「統合」「融合」「結合」「複合」……。全て「合」を含む言葉に集約することができます。「合」は、もともと二〇世紀に限りなく分けられたものをもう一度もとに戻すということです。その本質は「暮らし」にとことんこだわることではないかと思います。
「成長」が無条件に良い、限りなく続くと考えていたのが、そうではなさそうだ。日本は人口減少時代に入り、資源問題、環境問題も出てきた。成長神話から抜け出す必要があるのです。成長より円熟、成熟。それにあった生産と消費のあり方、暮らし方を考えていく時代です。
 それには自前で生きていくことが大事な視点です。これまで全部外に任せていたことから自立し、自分でいろいろな情報を集め、最終的に自分たちの生き方を決めていく。
 「終わりなき成長はない」。貿易黒字額で原油と食料品の輸入をまかなえない。「いつまでも買えると思うな、油と食べ物」です。

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