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[ No.11]
食と農を架け橋として、新しい時代を築く■3 経済学の祖に見る人間観近代経済学を始めたといわれているアダム・スミスは『道徳情操論』という本の中で「人間というのはお互いを理解し合えて共感できる、お互いの心情を慮って、惻隠の情を持つことができる」ということを“シンパシー”という言葉で表しています。人間とは自分のことを一生懸命やりたいのですが、共感を通じて他人の利益を同時に追求する、それで幸せな社会を作っていくのだ、と。また『諸国民の富』では「農業というのは芸術に次ぐ第二の職業である」と。芸術はいろいろなことを自己決定し、物事を新しく作っていく総合的な分野ですが、農業も同様に様々な条件を自分個人で総合的に判断し、様々な要因を踏まえて決定していく。日本の言葉で言えば、「百世百姓」、百姓は百のことをやる、百世。人類の明日への再生産を行う役割を担っていることもアダム・スミスのことばの中に含まれていると思います。 もう一つ、アメリカ基準を世界の全ての手本としようというグローバリゼーションに対して、少し違った資本主義があるのではないか、と言い出す人たちが現れています。市場に全てを任さない、という主張です。フランスのある田舎町でマクドナルド社が店を作ろうとした。それに怒った農民のジョゼ・ボヴェさんがブルドーザーで壊した。それが大喝采で今では国民的なヒーローになっている。フランスにマクドナルドは不要だ、均一な味は要らないということを主張している。彼は世界中を飛び回って講演をしています。 ■4 新しい時代への暮らし方
二、「大きいことはいいこと」から「小さいことが美しい、Small is beautiful」へ。 三、全てみんなと同じにするより、一つでいいから違うところを持ちたい、こだわりの消費傾向。 四、自分で選び、納得する。こだわりにはお金に糸目をつけない、それ以外のものはとことん安く済まそうとする消費の仕方。 五、受身、出来合いから、自分で参加し、作り、体験する、行動的に物事に関わっていく暮らし方。 六、消費と生産の融合・結合。例えば車。部品から注文、デザインを決め、ニーズに対応した個別の車を作ってもらう。パソコンも必要なものをオーダーして、自分仕様のものを作る。デザインを注文する繊維製品。市民農園で自分で野菜を作ること。生産はすべてお仕着せ、設計図で物を作っていってたのが、基本の設計のところに消費する側の意見が反映されるようになるわけです。 ■5 新しい農業のかたち新しい時代の暮らし方が始まるなかで、農業も新しいかたちを構築していかなければなりません。 生産者と消費者が「パートナー」となって、必要なサービスを供給し、自ら消費する。例えば生協と農協が提携して、環境にこだわる農産物を直接配送し、交流する。パートナー型では農業が持つ新しい役割が求められる。パートナーを組むことでお互いの役割が活かされる。福祉の面から、例えば園芸療法。教育の面で自然体験、環境教育の場として使う。環境面では滋賀県の愛東町の「菜の花プロジェクト」のような取り組みがあります。 環境、福祉、特産振興というようなパートナーシップ型の農業を進めていくと、例えばメダカやホタルがいないと飯が食えない、ここでしかできないオンリーワンの農作物にこだわりが出てくるわけです。 |
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